名 称
楢崎古墳群(ならさきこふんぐん)
所在地
多賀町大字楢崎
時 代
縄文時代中期後葉・晩期末、古墳時代後期、平安〜江戸
主要遺構
古墳群(古墳時代後期),館跡(室町〜安土桃山),集落跡,中世墓


上左:横穴式石室(3号墳)          下左:古墳群出土武器
上中:竪穴系小石室(41号墳)        下右:古墳群出土土器
上右:銀象嵌鞘尻(29号墳出土)  

概 要
 1995〜1999年に町教委の実施した発掘調査によって61基の古墳が確認された。古墳群は1号墳の築造を契機に6世紀後半から7世紀中頃にわたって形成されたと考えられ、古墳群の終末期には小型の横穴式石室や竪穴系小石室が築造されている。古墳の中には、礫床上にベンガラを散布したものや、ミニチュアの土師器甕、実用品の煮炊具などが出土したり、犬上川左岸扇状地に多く分布する階段式石室の可能性がある古墳も検出されているなど渡来系氏族との関係が考えられる。
 また、古墳から出土した副葬品の中には、象嵌の施された鞘尻金具や鍍金、銀張りの施された刀装具が複数の古墳で出土しており、犬上川左岸扇状地に分布する古墳群の中ではもっとも豊富な内容を持っている。
 現在、1号墳のみが残されており、古墳公園として整備されている。

文 献
1.用田政晴・山田友科子「群集墳の特質と展開−犬上川左岸扇状地の場合−」『多賀町文化財調査報告書第1集』1991多賀町教育委員会
2.『町内遺跡分布調査報告書 平成6年度版』1995 多賀町教育委員会
3.「楢崎古墳群」『多賀町埋蔵文化財発掘調査報告書第12集』2003 多賀町教育委員会